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2007年2月13日 (火)

32.「しろかき」と「くろ塗り」

泥んこ遊びに似た作業が「しろかき」と「くろ塗り」です。かなりの労働には違いありませんが、思い切って裸足で田圃に入れば、足指の間に食い込む泥の感触には何とも言えない遠い昔の郷愁のようなものを感じ、文字どおり泥んこ遊び感覚でこの力のいる作業を乗り切ることができるでしょう。

「しろかき」も「くろ塗り」も田の水を漏らさないための作業です。いちど耕したところに水を入れて、まず最初に田鍬で畦の内壁を塗り固めます。これが「くろ塗り」。次いで水をいっぱいに張った田をかきまぜて細かい土の粒子で田の底の穴を目づまりさせ、田の表面を平らにするのが「しろかき」です。「しろかき」は耕耘機などの農機具でやりますが、小さい田でしたら、一般に豆トラといわれる小回りの利く小型の機械を使えばいいでしょう。田の表面を均一にするには、水に浮かせた梯子や角材の両端にロープをつけて引っぱりながら行います。

ここで私の経験を申し上げれば、田圃に裸足で入ると、土壌の殺菌力で水虫が治るということです。水虫でお悩みの方はいちど試してみてください。

ところで、「しろかき」をしない、いわゆる不耕起栽培の方法もあります。前年の切り株に沿って田植えをすればいいし、だいいち地面が固いので長靴で楽に田圃の中を歩くこともできます。田の雑草も「しろかき」をした田圃よりも出が少ない利点もあります。稲も強健に育つという説もあります。

ただしそれには条件があります。つまり「水もちがいい田」でなければなりません。漏水するような砂目の田は無理でしょう。また、谷津田も地面に落差があるので難しいです。それと、比較的地面が固いところでの田植えですから、手植えにはそれなりの工夫が必要です。

面白いもので、蛙は人間の行動をよく見ているのですね。「しろかき」を終えて水をたたえた田を待っていたかとばかりに、夜のしじまに一斉に「蛙の合唱」が始まるのです。

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2007年2月 1日 (木)

31.苗を入手する

さて、苗はどうするかが問題となります。狭い谷津田を借りて米つくりをすることを想定すれば、遠く昔のお百姓さんに思いを馳せ、田植えはやはり手植えでするのが実感を伴い、楽しい作業でしょう。

それにしても米作りは1年に1回。10年やっても10回しかできません。そこで道は二つにわかれます。「10回しか出来ないのだから、すべて自分でやってみよう」と考えるか、「失敗すればその年は台無しになるから、最初は他人の手を借りて」となるかです。いずれにせよ「苗半作」と言うように、苗の良し悪しが米の出来不出来に50%の影響を占めるのですから、この選択は重要です。

前者ですと、保温折衷苗代で薄蒔きをして立派な大苗をつくることはできますが、苗代つくりや苗代の管理には、どうしても70歳以上の農家の人の指導をうけることが必要になります。今では機械化が進んでいるので、田植機に適用しないこんな苗代つくりなどだれもしていませんが、70歳以上の人ならば、昔の作業のコツは体に染みついているので、むしろ喜んで教えてくれるでしょう。

後者ですと、出来合いの苗を買うことになります。私も最初はそうしたのですが、近所の米つくり農家からでも、また水稲組合からでもいいのですが、ハウスで作られた田植機用の1枚700円程度の箱苗を分けてもらうのです。1箇所に5本ほど植えるようにつくられているので、苗箱の苗はびっしり。つまり背は高くとも1本1本は細い苗ですから、苗半作の観点からすると、あまりお薦めできません。大苗なら1本植えで十分に20株にはなります(これを「分けつ」といいます)が、この場合はまあ2~3本ずつ植えて、同じ茎数を確保することになります。でも、苗で失敗することを思えば、安全策と言えなくもありません。

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