30.田んぼを借りる
稲作も大型機械でするようになって以降、1枚の田が小さい谷津田と言われる田の多くは不耕作のままになっています。ですから、米をつくろうと思えば谷津田ならほとんど地代無しで借りることができます。基盤整備がなされていて、蛇口ひとつひねれば水がでるような灌漑設備の行き届いた田は地代として平均米2俵(それに相当する金額)、あるいは地代は安いが水利組合費や土地改良費などを年割りで払わされることになります。それに、1枚の田がかりに10アールとしても、そうした田は幅10メートル縦100メートルですから、草取りなど腰をかがめてする作業では気が遠くなってしまいます。それに比べると谷津田は1枚1枚が比較的狭いので、仕事の達成感もあり、面積に圧倒される感覚からも逃れられます。
谷津田はまた、農薬が混じっていないきれいな沢の水を常時取水することができることが強味です。自分の思い通りの水管理ができるわけです。ただし、その分手間が人一倍かかることは覚悟しなければなりません。畦、これをクロと言いますが、このクロ塗り(水がもれないようにどろどろの土で畦の内側を塗りつける作業)をする畦の長さは田の枚数が多ければ多いだけ長いからです。それに、ザリガニやモグラがいつ畦に穴を開けるかわかりません。気付いたときには田が干上がっていたなどということも起こります。そのため、毎日田を見てまわる必要があります。この「田まわり」は、「作物は人の足音を聞いて育つ」とも言われることからも、それをよしとしましょう。
ところで、ここ数年、谷津田での米つくりを楽しんでいる友人がしきりと頭をかかえるようになりました。それはイノシシによる被害です。やっと実った稲を食べられたり、田をぐじゃぐじゃに荒らされるのです。里山が放置され、人と獣の境界がはっきりしなくなったためと思われます。
田を借りるには、地元の農家の口利きを必要としますから、その折りに土地条件やイノシシの有無などをあらかじめ聞いておくことが肝心です。
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