16.住まいを考える マイクロバスの家
ビニールハウスの住居が奇想天外なら、もうひとつ愉快な発想で土地に根を生やした人をご紹介します。
私の住む町はハンググライダーやパラグライダーが盛んなところです。そのハンググライダーのインストラクターをしている独身のYさんが、おそらく地目は宅地ではなく畑と思いますが、そこに廃車直前の大型マイクロバスを持ち込み、住居にしたのです。バスをタイヤを付けたままジャッキで持ち上げて固定し、内部は乗客用の椅子を倒せばベッドになる長椅子に取り替え、車体の後ろ半分にパソコンを置くデスクと寝室までつくりました。電気を引き、井戸を掘り、トイレと台所は車外に別建てとしました。
バスの屋根には断熱効果も兼ねて荷物置き場を設け、夏冬の暑さ寒さはその都度エンジンをかければクーラー、ヒーターが作動してオーケーというわけです。
地目を変える手続きで手間取ることもなく、固定資産税もとられず、Yさんに言わせれば「ジャッキをはずせば、いつでも夜逃げができる」といういかにも身軽な生活スタイルです。向かい合わせのベッド兼用の長椅子は、ハングの仲間達の会議に使われることも多く、住居というよりは小会議室といった感じです。
住み始めた当初はグリーンのボディがあざやかで、幼稚園に置いてもいいような可愛らしさがありましたが、すでに十数年が経つと錆びも目立ち、みるからにみすぼらしくなってきました(ペンキを2年ごとに塗れば鉄部のもちも良かったでしょうに)。
それというのも、アイディア豊富なYさんは、このバスを拠点にして、隣り合わせに鉄骨のガレージ兼ハング・スタッフの宿泊施設を、そして少し離れたところにログハウス調の洒落た喫茶ルームを建てたからでしょう。
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